ニューカッスル対エヴァートン

西南女学院大学　教授太田かおり --> 太田かおり先生 西南女学院大学人文学部英語学科。専門は，英語音声学，小中連携英語教育，e-learning英語教育。国際基督教大学大学院教育学研究科教育方法学専攻，博士後期課程修了，博士（教育学）。英語音声教育の重要性や小中連携を視座に置いたグローバル時代の英語教育の在り方等について幅広く研究活動を行っている。 アルファベットの「音」と「形」への気づきを促す活動案 １．アルファベットの「音」への気づきを促すヒント 【アルファベットで，発音の基礎を身につけよう！】 　ABCDEFG～♪ アルファベットの歌は，英語を学び始めた子どもたちの多くが最初の段階で口ずさむ歌のひとつです。『きらきら星』のメロディーに合わせて歌う代表的なものに加え，さまざまなABC songが存在します。しかし，覚えておきたいのは，「この段階で身につけるアルファベットの発音が，その後の英語の発音の大切な基礎になる」ということです。 　アルファベットの発音指導は，「話すこと」の最初の第一歩です。簡単なようで，より丁寧な指導を求められるのがアルファベットの発音指導です。英語の発音を身につけるうえで，学習の初期段階におけるインプットの質はとても重要です。 　では，アルファベットの発音指導を通して，英語の音声の基礎をどのようにして身につけるのか，そのヒントについてご紹介します。 【アルファベットは「名前読み」と「音読み」の両方を学ぼう！】 　英語はアルファベットの26文字からできています。アルファベットには，「名前（名前読み）」と「音（音読み）」の2つの読み方があります。例えば，アルファベットのAには[ei]という名前がついていますが，単語の中では[æ]という音になります（[ei]という名前読みと同じ音になることもあります）。アルファベットのBには[bi:]という名前がついていますが，音は[b]です。penという単語を [pén]と発音するのは，アルファベットは単語の中では P[pi:]，E[i:]，N[en]と名前読みするのではなく，[p]，[e]，[n]と音読みするからです。 　このように，アルファベットの名前読みを知っているだけでは単語が読めるようにはなりませんので，アルファベットを学ぶ際には，「名前読み」と「音読み」の両方を学習する必要があります。 【アルファベットのグループ分け（6分類）】 　アルファベットは，共通の音によって6つのグループに分類することができます。この6分類は，小学校外国語科『NEW HORIZON Elementary 5』の巻末絵カード「アルファベット大文字」の色分けにも活用されています。 ●アルファベットに含まれる「共通の音」でグループ分けを行う。 [アルファベット色分け（6分類）] AHJK　　　　　　　　 　　[ei]が共通の音 BCDEGPTVZ　　　 　　　 [i:]が共通の音 IY　　　　　　　　　　　　[ai]が共通の音 QUW　　　　　　　　　 　 [u:]が共通の音 FLMNSX　　　　　　　　　[e]が共通の音 OR　　　　　　　　　　　　共通の音がない（それぞれが単独の音） （NEW HORIZON Elementary 5 巻末絵カード「アルファベット大文字」参照） －考え方のヒント①－ AHJK　　　　　　　　　　Aグループ　　　[ei]が共通の音 BCDEGPTVZ　　　　　　 Eグループ　　　[i:]が共通の音 IY　　　　　　　　　　　 Iグループ　　　[ai]が共通の音 QUW　　　　　　　　　　Uグループ　　　[u:]が共通の音 FLMNSX　　　　　　　　 eグループ　　　[e]が共通の音 OR　　　　　　　　　　　OとRは単独　　 共通の音がない ※下線を引いたアルファベットは，各グループ内で共通の音を持つアルファベットです。 ※アルファベットは「共通の音」をもとに，6つのグループに分類するこができます。 －考え方のヒント②－ AHJK　　　　　　　　　　Aグループ　　　[ei]が共通の音 　Hの発音は，A([ei])＋[tʃ] 　Jの発音は，[dʒ]＋A([ei]) 　Kの発音は，[k]＋A([ei]) BCDEGPTVZ　　　　　　 Eグループ　　　 [i:]が共通の音 　Bの発音は，[b]＋E([i:]) 　Cの発音は，[s]＋E([i:]) 　Dの発音は，[d]＋E([i:]) 　Gの発音は，[dʒ]＋E([i:]) 　Pの発音は，[p]＋E([i:]) 　Tの発音は，[t]＋E([i:]) 　Vの発音は，[v]＋E([i:]) 　Zの発音は，[z]＋E([i:]) FLMNSX　　　　　　　　 eグループ　　　[e]が共通の音 　Fの発音は，[e]＋[f] 　Lの発音は，[e]＋[l] 　Mの発音は，[e]＋[m] 　Nの発音は，[e]＋[n] 　Sの発音は，[e]＋[s] 　Xの発音は，[e]＋[k]＋[s] ※アルファベットの発音を，「母音」または「母音と子音の組み合わせ」として捉え，丁寧に発音指導することで、英語の母音と子音の発音の基礎を身につけることができます。 活動内容： アルファベットの「音」をヒントに，あらかじめ色分けされたアルファベット（大文字）がどのようなルールで色分け（グループ分け）されているのか，個人やグループで考えてみよう。 この活動を通じて身につけたい能力： 1) 色分けされた各グループには「音」の共通点があることに気づく。 2) アルファベットを正しく発音することで，母音と子音の発音の素地を築く。 （特に，ここで身につける母音と子音の発音が，後の英単語における発音の基礎となるため，極めて重要である。） 3) ペアやグループで意見交換することにより，ものごとの捉え方には様々な視点があることを学ぶ。 同時に学んでおきたいこと： 1) 各アルファベットの発音を聞いて，どのアルファベット（大文字）を指しているか，文字を見ながら識別できる。 2) 各アルファベットの発音を聞いて，後に続いて発音することができる。また，アルファベットの文字を見て発音することができる。 応用編(1)： アルファベットの「音」をヒントに，グループ分けしよう。 （色分けされていないアルファベットを使って，自分でグループ分けや色分けする活動も可能。） ABCDEFGHIJKLMNOPQRSTUVWXYZ 応用編(2)： リーダーの音（共通の音）を聞いて，その音を含むアルファベットにすべて〇をしよう。 　例えば，アルファベットのEを教師が発音した後，児童・生徒も発音し，Eの音を含むEグループのアルファベットをすべて見つけて〇で囲む。選んだアルファベットを声に出して発音し，Eの音が共通であることを確認する。 ABCDEFGHIJKLMNOPQRSTUVWXYZ ２．アルファベットの「形」への気づきを促すヒント 　アルファベットの文字指導は，「書くこと」の最初の第一歩です。丁寧な文字指導を心がけることで，楽しみながら文字への気づきをより一層深めることができます。 ●アルファベットに含まれる「共通の形」でグループ分けを行う。 活動例：アルファベットの「形」をヒントに，次のそれぞれの特徴ごとにグループ分けをしよう。 【大文字】 1) タテとヨコの線だけで書くアルファベット　　 EFHILT 2) 斜めの線を含むアルファベット　　　　　　　 AKMNVWXYZ 3) 曲線を含むアルファベット　　　　　　　　　 BCDGJOPQRSU 4) 左右対称（左右半分に折ると重なる）のアルファベット　　　　AHIMOTUWXY 5) 上下対象（上下半分に折ると重なる）のアルファベット　　　　CDEHI(K)OX 6) 上下左右対象（上下左右に折ると重なる）のアルファベット　　HIOX 【小文字】 1) タテとヨコの線だけで書くアルファベット　　 l t 2) 斜めの線を含むアルファベット　　　　　　　 k v w y z 3) 曲線を含むアルファベット　　　　　　　　　 a b c d e f g h m n o p q r s u 4) 左右対称（左右半分に折ると重なる）のアルファベット　　　　i l o t v w x 5) 上下対象（上下半分に折ると重なる）のアルファベット　　　　c l o x 6) 上下左右対象（上下左右に折ると重なる）のアルファベット　　l o x 7) 点(・)を含むアルファベット　　　　　　　　 i j 8) 1階建てのアルファベット　　　　　　　　　 a c e m n o r s u v w x z 9) 2階建てのアルファベット　　　　　　　　　 b d f h k l 10) 1.5階建てのアルファベット　　　　　　　　i t 11) 地下1階つきのアルファベット　　　　　　　g j p q y 活動内容： 1) アルファベットの「形」をヒントに，さまざまな特徴によってグループ分けしよう。グループ分けが終わったら，ペアの友達と比べてみよう。グループ分けの内容が異なっていたら，どうしてそう考えたのかをお互いに説明し合ってみよう。 2) 大文字と小文字を比較して，アルファベットの形について気づいたことを自由に発表し合おう。 この活動を通じて身につけたい能力： 1) アルファベットの「形」への興味を喚起し，大文字・小文字の認識を深める。 2) 仲間と意見交換し合うことで，相手の意見に耳を傾けたり，「なぜそのように分類したのか」について判断の根拠を示しながら相手にわかりやすく説明したりする力を高める。